GODIEGO DISCOGRAPHY

TITLE
デッド・エンド/Dead End
DATA
1977年11月1日
日本コロムビア  YX-7192

リリース当初約 2万7千枚のセールス。チャート64位(オリコン)。

 

SONGS

A01 時の落し子/Millions of Years
02 イン・ザ・シティ/In the City
03 サムの息子/Stop & Look Around
04 デッド・エンド〜ラヴ・フラワーズ・プロフェシー/Dead End〜Love Flowers Prophecy
05 ラスト・アワー/Last Hour
B06 パニックイメージ/PanicImages
07 アンダー・アンダーグラウンド/Under Underground
08 孤独な面影/A Face in the Crowd
09 血塗られた街/(Crime is) The Sign of the Times
10 御国/Mikuni
REVIEW

ゴダイゴの2ndアルバム。

1stの「ゴダイゴ(新創世紀)」が元々タケカワユキヒデのソロアルバムとして始まったことを考えると、実質的な1stアルバムと言える。
トミー・スナイダーが参加し、ゴダイゴ・サウンドが固まった時代の名盤である。 

ゴダイゴのアルバム中最もロック色の強い一枚。袋小路(デッド・エンド)の様な混沌とした社会状況をテーマとしたコンセプト・アルバムで、同アルバムからは一曲もシングル・カットされていない。

サウンドはバンドの音を前面に出しており、ジャケットのイメージ通り黒と赤の印象を与える。
根っからのポップ人間であるタケカワユキヒデにとってはあまり理解できない世界であったらしく、91年頃のインタビューでは「作っている時に僕は全くわかんなかった。何言ってんのかわかんないし、何んか暗いなーって感じだけで。 デッド・エンドって言葉自体もあんまし好きじゃなかった。(中略)異様に暗く嫌だなぁと思いながら、夜中に一人で書いてました。(笑)」と語っている。 書く曲がみんなミッキー吉野から「もっと暗く!」と付き返されるので、かなり苦労をしたらしい。
一方ミッキーは「僕が元々考えていたゴダイゴというのが、社会的なものをテーマとして意識したものであったわけなんだけど、実はアレ、煮詰まってたんですよ。(中略)それで煮詰まったから『デッド・エンド(袋小路)』」と語っている。

大曲「デッド・エンド〜ラヴ・フラワーズ・プロフェシー」は、解散に至るまでゴダイゴのライヴに於ける重要な曲となる。その他「アンダー・アンダーグラウンド」や「イン・ザ・シティ」、「御国」、「孤独な面影」などがライヴでは演奏されていた。 このアルバムを特集した放送音源としては、1978年2月5日のDENONライブコンサートがある。ここでは、このアルバムの大半の曲が演奏され、特に「サムの息子」は浅野孝己のギターとミッキー吉野のオルガンが白熱した演奏を繰り広げていた。

ゴダイゴとしては最もハードな部類に属する「血塗られた街」では、エンディングでトミーのドラムソロも聴くことが出来る。
浅野孝己が当時開発中のローランドのギター・シンセ(GRプロトタイプ)を初めてレコーディングで使ったとされている。 アルバム上はどの曲だか明記されていないが、ファンクラブ会報や後のミッキーのインタビューなどを総合すると、「イン・ザ・シティ」と「アンダー・アンダーグラウンド」であると思われる。「イン・ザ・シティ」ではカッティングで使っているとのこと。 「アンダー・アンダーグラウンド」は、間奏のワウのかかったソロの部分と推測される。

ファンクラブ会報のQ&Aによれば、タケカワはレコーディング時にはキーボードは弾いていないが、ライヴでは「孤独な面影」と「イン・ザ・シティ」等で弾いているそうだ(ライナーの写真ではキーボードを前に座っているコンサートの光景(77年7月23日の俳優座)が写されている)。ちなみにメンバー全員が写っている演奏中の写真で浅野孝己が弾いているのがギター・シンセサイザーである。

ミッキーはピアノ、ハモンド・オルガン、シンセ、クラヴィネットと様々なキーボードを駆使して奥行きのある音楽空間を作り上げている。

レコードとCDでは編集にやや違いがあり、LPではクロスフェイドしていた「イン・ザ・シティ」と「サムの息子」がCDでは曲間が開いている他、「パニック」と「イメージ」がLPではカットインする様に繋がっているが、CDではこれも曲間が開いており、「イメージ」の唄い出しのタケカワのブレスがはっきり聞こえる。これはCD化の時にアルバムの原盤が残っておらず、個々の曲のマスターから落としなおしたためである。

82年にファンクラブ会報で行われたベスト・アルバム投票で一位となり、32・33号は同アルバムの特集が組まれた。
ここでのメンバーのコメントは次のとおり。
・ミッキー吉野
「ちょっと違っちゃったんだよね。大林宣彦さんのライナーにもあるとおり現象面には触れず、つまり新聞記事的なものを避けたかったんだ。この頃まわりに新聞的な詞が多くていやだったんだよね。でも結局はああいう世界は歌では表しきれないっていう限界を当時は悟りましたね(笑)。これは、でも一番未完成なゴダイゴだけど、好きですね。「孤独な面影」や「血塗られた街」なんかアレンジがもうひとつだけれども・・・・一番好きだね。当時、目にもつきはじめたけど自殺とかそういったこと、デッドエンドの予感があって・・・・現在のことになってしまったけど・・・・そういう意味で考えたアルバムだね。 トミーの詞でいいのがあって(ラヴ・フラワーズ・プロフェシー) "in your decision"・・・勇気のある決断が必要な時が来たんじゃないかと考えたんだ。ここからゴダイゴが"再発見"の方向に動いたんだね。何か忘れているものがあるんじゃないかと。」

・吉澤洋治
「好きな曲が多いアルバムなんだよね。「時の落とし子」とか「サムの息子」、「パニック」「血塗られた街」なんかはアメリカに行く時練習しました。「御国」はベスト20の時やったし、デッドエンドはしょっちゅうやってるね。「イン・ザ・シティ」は"Debut!"でこの前練習したんだ。本番ではやらなかったけど。アルバムにはパワーを感じます。これにつきますね。音がいいんです。荒っぽい感じがして。」

 

EPISODES
プロモーション用に「時の落し子」「御国」「サムの息子」「血塗られた街」の4曲が収められた12シングルがプレスされている。これはミッキー吉野によればミキシング前のものである。

この頃の作品でレコード化されていないものに、「ゴダイゴ号の冒険」が挙げられる。この曲はトミー・スナイダー来日後に作られたもので、ファンクラブ会報で言及されている他、77年7月17日のDENONライブコンサート(FM東京)でも演奏されている。

赤と黒を基調にしたジャケットはかなりクールで、後のアイドルの面影はまだない。この時は酒をかなり飲んだ状態で撮影したという話もある(未確認情報)。確かにスティーヴ・フォックスや浅野孝己は素面に見えない。
「袋小路」というイメージを小難しいイラスト等ではなく、メンバーの写真で表現出来るあたりは、デザインとしても観念的なものが先行していた「ニューロック」の世界を抜け出していたことを感じさせる。 撮影はロックのジャケット写真撮影では世界的に有名なNorman Seeff によるもの。
ちなみに撮影場所は、ミッキー吉野の旧友である野中三郎(彼のスタジオでアルバム「フラワー」は制作されている)の自宅の一室である。

ライナーノーツは大林宣彦(映画監督)。同氏が監督をした映画「ハウス」のサウンドトラックを担当した縁での執筆だった。
歌詞対訳は山本安見。 帯のコピーは「『袋小路(デッド・エンド)』こそ俺達のスペース・オペラだ!! 『新創世紀以来、1年3ケ月に及ぶじょう舌な空白の後すべてのコマーシャリズムと精神的訣別をし、今、君に送るオリジナル・セカンド・アルバム!」というもの。

裏ジャケット裏の演奏者クレジット(女声コーラス)の表記はかなり不正確である。伊集さんは「加代子」であって「カズコ」ではない。

当初はLP、カセット(77.11.25/CCK-5011)での発売。後にCDで正式に復刻された(89.11.21/CA-4061)。CDはQ盤でも出ている(94.7.21/COCA-11876)が、これはジャケット/ライナーが省略されている。 また、同じYX-7192でもレーベル面がサトリルとコロムビア(オレンジ色)の2種類があり、サトリル盤の歌詞カードは2種類存在する。

  

CREDITS
Producer ジョニー野村 (Co-Produced by 柏木省三)
Engineer Philip Toynbee,三尾喜夫, Mr. Abe & 鈴木慶三
Arranger ミッキー吉野 & GODIEGO
Players G-Personnel : MarkIII
タケカワユキヒデ: Vocal
ミッキー吉野: Keyboards, Vocal
浅野孝己: Guitars, Guitar Synthesizer, Vocal
スティーヴ・フォックス: Bass, Vocal
トミー・スナイダー: Drums, Vocal
  
サンディ・A・ホーン, スーザン・キャンベル, 伊集加代子: Backing Vocals
Designer & Photographer Photograph: Norman Seeff
Art Direction: Shingo Kaname
Design: Tommy Fukutomi

TOPへ 掲載記事に問題がある場合は、TOPページのアドレスから管理人までご連絡下さい。