GODIEGO DISCOGRAPHY

TITLE
ゴダイゴ(新創世紀)/GODIEGO includes the Suite: Genesis
DATA
1976年7月25日
日本コロムビア  YX-7117

リリース当初約 4千枚のセールス。チャート88位(オリコン)。

 

SONGS

A01 想い出を君に託そう/If You are passing by that way
02 イエロー・センター・ライン/Yellow Center Line
03 マジック・ペインティング/Magic Painting
04 憩いのひととき/It's good to be home again
05 僕のサラダガール/Salad Girl
. 組曲: 新創世紀/Suite: Genesis
06 誕生/Creation
07 女王の唄/Queen's Song
08 恋する男の嘆き/Lover's Lament (Sacrificial Blues)
09 母と子/Mother and Son
10 男たちの凱歌/The Huddle
11 釈迦の歌/Buddha's Song
REVIEW

ゴダイゴのファースト・アルバム。

75年後半にタケカワユキヒデの2ndソロ・アルバムとして製作されていたが、同年末にタケとミッキー吉野グループが合体してゴダイゴを結成することとなったため、アルバムも「ゴダイゴ」名義でリリースされた。

元々タケカワのソロアルバムの予定だったためか、タケカワ色が強い(作曲も全曲彼によるもの)。
バンドとしてはまだこなれていない部分があるが、名曲「想い出を君に託そう」や「新創世紀」を収めた名盤である。

B面全てを使った組曲「新創世紀」は、タケカワの美しいメロディとミッキー吉野のアレンジがマッチした意欲的な大作で、中でも「釈迦の歌」のエンディングは実に美しい。同じ年にミッキーが編曲、ゴダイゴが演奏を担当したエディ藩のアルバム「ベイサイド・スウィンガー」があるが、この2枚はいずれもセールス的には成功しなかったもののミッキーの目指していた新しい日本のロックを具現化した名盤で、もっと評価されるべきである。

ゴダイゴのオリジナル・ドラマーは浅野良治となっているが、本アルバムの大部分は75年に録音されており、この時期の録音でのドラムは当時ミッキー吉野グループに在籍していた原田裕臣が叩いている(浅野良治は76年に入ってから録音された「想い出を君に託そう」と「僕のサラダガール」のみ ドラムで参加している)。
原田裕臣はゴダイゴ結成の話がまとまる前にミッキー吉野グループを脱退したためにメンバーとならなかった。

タケカワは、「イエロー・センター・ライン」や「誕生」、そして「女王の唄」でピアノを弾いている他、「マジック・ペインティング」ではメロトロンを弾いている。

「憩いのひととき」はタケカワのアマチュア時代からの知り合いである石川鷹彦がアレンジとアコーステック・ギターで参加している。

77年に日本テレビ製作のドラマ「水滸伝」がイギリスBBCで放映された際に、英語版の主題歌をゴダイゴが担当、この「水滸伝のテーマ」がヒットした。 これを受けて本アルバムの「僕のサラダガール」を「水滸伝のテーマ」に入れ替えて「The Water Margin(水滸伝)」がイギリスで発売された。

 

EPISODES
本アルバムリリース前にファースト・シングル「僕のサラダガール」(c/w「イエロー・センターライン」)がリリースされている。 このシングルはカネボウのキャンペーン・ソングに使用され、オリコン・チャート37位のスマッシュ・ヒットとなった。

シングルでの「僕のサラダガール」はアルバムに収録されたものとは別アレンジである。B面の「イエロー・センターライン」はテイクはアルバムに収録されたものと同じだが、エコーの掛かり方等ミックスが異なる。

イギリスでは「想い出を君に託そう」(c/w「男たちの凱歌」)がシングルカットされている。

ジャケットは"Rising Sun"をイメージさせるもので、全体的な印象はシンプルだが、気負いのない感じがなかなか良いジャケットである。初期のゴダイゴのアルバムジャケットは割とセンスが良い。 カット的に挿入されている朝焼けの海辺のシーンは後にUK盤「Water Margin」のジャケットに使用された。
ライナーノーツは大貫憲章(音楽ライター)。デビュー当時は、サウンドの特色、英語でやっていること等洋楽志向が強かったことなどから、「ミュージック・ライフ」 「ミュージック・マガジン」等洋楽系の雑誌に広告を出していた。

歌詞対訳はタイトル曲以外はついている(訳者不明)。組曲「新創世紀」は対訳の代わりに組曲の粗筋に該当するコメントがついている。
ジャケット裏の各メンバーのコメントは次の通り。 タケカワ"What's up next."、ミッキー"It all depends on weight."、浅野(孝己)"Stop this hand from going too far."、スティーヴ"Jesus, please save us."、浅野(良治)"Listen to this heart beat."。

ライナーの中で、大貫氏は最近CM音楽で新鮮なサウンドが出て来ているという切り口から書いている部分がある。これはシングルの「僕のサラダガール」がCMソングとしてヒットしたのを受けてのことだが、「ミュージック・マガジン」でこのアルバムのレコード評を書いた亀淵昭信も「最近のCMソング、音楽的に楽しいものが多いから嬉しいのですヨ。『サラダ・ガール』も良い曲であった。」と書いている。但し亀淵氏はポップ系サウンドがお好みらしく、B面の組曲「新創世紀」については「テーマにしばられているせいか、ポップな感じなくなり〜」とやや手厳しい評価をしている。一方で、A面には「太陽キラキラと草の匂いを感じさせて」とか「サウンドは昔のホリーズを思い出しちゃったけれど、曲の発想も、詞も、西海岸ルート101風で、可能性いっぱいあり」となかなか良い評価だった。

当初はLP(76.7.25)、カセット(76.11.25/CCK-5001(-SR))での発売。後にCDで正式に復刻された(89.11.21/CA-4060)。CDはQ盤でも出ている(93.11.21/COCA-11130)が、これはジャケット及びライナーの一部が省略されている。 また、同じYX-7117でもレーベル面がサトリルとコロムビア(オレンジ色)の2種類がある。 
このLPにはプロモ盤が存在するらしい。デビュー・シングル「僕のサラダガール」の初版ジャケット裏面にニュー・アルバム「新創世紀」の宣伝が載っているが、ここで掲載されているジャケットは正規盤と異なりメンバー名らしき文字(詳細は判読不明)が記載されている。

レコード・リリース前に発行されたファンクラブ会報1号でこのアルバムのことに触れているが、当時は曲目も含め邦題が未定だったらしく、全て英語タイトルで書かれている。ちなみにアルバムの仮タイトルはシンプルに「Genesis」 である。

76年に制作されたATG映画「青春の殺人者」で長谷川和彦監督はこのアルバムから4曲をサウンドトラックに使用している。
長谷川監督は今までの日本映画の音楽がイヤでビートルズを使いたかったのだが、使用料が高過ぎるということで、考えあぐねている時に井上堯之からゴダイゴを紹介されたそうである。最初はメロディに惹かれて(しかも使用料が無料)起用したが、最初はインストを録りなおして使う積りで、原曲(英語の歌詞)を使う予定はなかった。しかし、ミッキー吉野に「ヴォーカルに代わる楽器って何だろう」と言って「ない」と答えられ、やけになって原曲を使うことにしたとのこと。そうは言いながらも、一部分はインストを映画用に録音している(ちなみにノーギャラはもちろんスタジオ代も出なかった)。

「マジック・ペインティング」でのタケカワのメロトロンは実は曲の前半にしか入っていない。これには東京と大阪の電源の周波数(サイクル)の違いが影響している。
彼が弾いているのは「ん ぱっぱ ん ぱっぱ」という コード弾きによるバッキングだが、この時西日本用に設定されたメロトロンがレコーディング・スタジオに届けられたため、本来のコードを移調して弾いていた。ただでさえ複雑なコードのところを、その場で置き換えて演奏している訳で、しばらく頑張ってみたものの途中でやめてしまった。
しかし、トラックダウンにはタケカワは立ち会っておらず、立ち会っていたスティーヴ・フォックスはタケカワが途中で演奏をやめたことをしらなかったため、メロトロンのトラックはそのまま生かされてミックスされてしまった。その結果、不自然に消えるメロトロンの音が残ってしまったのである。ミッキー吉野にも同じようなエピソードがあり、75年末にNHKの特番でタケカワユキヒデ&ミッキー吉野グループがベートーヴェンの「第九」をアレンジして演奏した時、関西向けの サイクルで設定されたハモンドが届けられたので、ピッチがずれてしまい、ミッキーは急遽自分だけ転調して弾かなければならなかったそうだ。

※メロトロンは音源がテープ・レコーダーで、再生にはモーターを使用するので電源の周波数(サイクル)がピッチに影響する。またハモンド・オルガンもモーターで回転するトーンホイール・ジェネレーターを音源としている。イギリスは周波数(サイクル)は50Hzのため、メロトロンは50Hzのものが多い。この場合、西日本(60Hz)で使用する場合はサイクル・チェンジャー(コンバーター)でサイクルを変える必要がある。逆にアメリカ製のハモンドはアメリカのサイクルである60Hzのものが多く、こちらは東日本(50Hz)で使う時にサイクル・チェンジャーを使用する。この時は、西日本用サイクル設定(60Hz)のハモンドが届けられたのだろう。 サイクルの違いでは短3度のずれが発生するらしい。

アルバムが発売された時のチラシは、2007年に同年3月の東京芸術劇場でのライヴ「2007 TOKYO新創世紀」がリリースされた際に、ディスクユニオンが予約特典として復刻した(併せて1975年のタケカワユキヒデ&ミッキー吉野グループのツアーパンフも復刻された)。

  

CREDITS
Producer ジョニー野村
Engineer 三尾喜夫 & Philip Toynbee
Arranger ミッキー吉野 (except 4 by 石川鷹彦 & タケカワユキヒデ)
Players G-Personnel : MarkI & MarkII
タケカワユキヒデ: Vocal, Piano (on 2, 6 & 7), Merotoron (on 3)
ミッキー吉野: Keyboards
浅野孝己: Guitars
スティーヴ・フォックス: Electric Bass, Vocal
浅野良治: Drums (on 1 & 5)
原田裕臣: Drums
  
石川鷹彦: A. Guitar (on 4)
坂本めぐみ & 上村純子: Backing Vocals
Designer & Photographer Art Direction: Shingo Kaname
Photograph: Masatada Nagaki & 加納政明

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