GODIEGO DISCOGRAPHY

TITLE
西遊記/Magic Monkey
DATA
1978年10月25日
日本コロムビア YX-5004
リリース当初約54万枚のセールス。チャート1位(オリコン)。

 

SONGS

A01 ザ・バース・オヴ・ジ・オデッセイ/The Birth of the Odyssey
02 モンキー・マジック/Monkey Magic
03 ガンダーラ/Gandhara
04 エイジアティック・フィーヴァー/Asiatic Fever
05 ヘディング・アウト・ウェスト・トゥ・インディア/We're Heading out West to India
06 サンキュー・ベイビー/Thank you, Baby
B07 ステッピン・イントゥ・ユア・ワールド/Steppin' into your world
08 ハヴォック・イン・ヘヴン/Havoc in Heaven
09 ドラゴンズ・アンド・デーモンズ/Dragons and Demons
10 ア・フール!/A Fool!
11 フライング/Flying
12 セレブレイション/Celebration
REVIEW

ゴダイゴの3rdアルバム。
日本テレビ開局25周年TVドラマ「西遊記」(主演:堺正章・夏目雅子等)のサウンドトラックとして使用された。
セールス的には本アルバムがゴダイゴの代表作でもある。

サウンド的には、シンセの大幅な使用やシーケンサー(ローランドMC-8)の導入により、オリエンタルなきらびやかさ(またはケバケバしさ)を敢えて狙っている。 ガンダーラのイントロでアコースティック・ギターを4本以上ダビングするなど、スタジオ・ワークでも凝ったところを見せている。 シンセのソロで始まりシンセのジングルで終わるこのアルバムは、YMOとはまた別の意味での70年代の日本のロックにおけるシンセ・サウンドのモニュメントのひとつとも言えるだろう。単にシンセの音色が聞けるというのではなく、進化しつつある楽器としてのシンセサイザーが使いこなされた幸せな一例だったのである。

当時のゴダイゴはデビュー以来セールス的にはあまり成功を収めておらず、全国ツアー(含む武道館)はChar(チャー)のバックバンドとしてのものだった。Charはミッキー吉野、スティ−ヴ・フォックス、トミー・スナイダーとのバンド結成を希望しており 、一方でゴダイゴは解散の危機をはらんでいた時期だったが、結果的に「ガンダーラ」、「モンキー・マジック」のヒットにより大ブレイクし全国区的な知名度のバンドとなる。 前述のヒット曲に加え、ライヴでお馴染みの「ステッピン・イントゥ・ユア・ワールド」や「セレブレイション」、またヴォーカルの掛け合いが面白い「ア・フール!」やオリエンタルなきらびやかさに溢れた「ヘディング・アウト・ウェスト・トゥ・インディア」等名曲が多い。 「サンキュー・ベイビー」は当初映画「キタキツネ物語」の為に作曲された佳曲で、短いが印象的な曲である。

タケカワユキヒデ以外のメンバーが1曲を通してリード・ヴォーカルをとっている曲が多いのも特徴で、トミーが「エイジアティック・フィーヴァー」と「フライング」、スティーヴが「ドラゴンズ・アンド・デーモンズ」を唄っている。

アルバムの最後には、銅鑼とシンセによるリフレインが挿入されている。The Beatlesの「Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band」の最後の遊びに感じが似ており、当時コンセプト・アルバムというとやはりこのアルバムの影響が大きかったことを感じさせる。

 

EPISODES
本アルバムからは「ガンダーラ」(c/w「セレブレイション」)、「モンキー・マジック」(c/w「ア・フール」)がシングルカットされている。 「セレブレイション」は別ミックス、「ガンダーラ」は別テイクの日本語版である。この「ガンダーラ」はゴダイゴの最初の日本語でのシングルだった。 アルバムでは「ザ・バース〜」とメドレーになっている「モンキー・マジック」は、シングルでは切り離されて単独(テイクは同じ)で収録されている。

TV番組「西遊記」は79年頃イギリス(BBC放送)で放映されており、本アルバムは曲順を変えて「Monkey」としてBBCレコードよりリリースされた。シングルも「ガンダーラ」(c/w「モンキー・マジック」)がリリースされている(全英チャート 最高56位)。 こちらは「ザ・バース〜」がついており、「ガンダーラの方は1コーラス目が日本語で2コーラス目が英語となっているレアアイテムである。これとは別のマキシ・シングルで、A面が「モンキー・マジック」(「ザ・バース〜」はなし)で、B面が「ガンダーラ」「サンキュー・ベイビー」というものもリリースされている。
同番組は1984年にオーストラリアでも(ABCで)放映されており、そのサントラとしてアルバム「Magic Monkey」(曲順等は日本版と同じ)及びシングル「ザ・バース〜」付きの「モンキー・マジック」(c/w「ガンダーラ」)がABCレコードからリリースされている。

番組のサントラとしては、「Songoku」など、堺正章がヴォーカルを取っているシングルが数枚発売されている。 この中には「サンキュー・ベイビー」や「ハヴォック・イン・ヘヴン」の日本語カバーも含まれており、バックはゴダイゴが担当している。
本アルバムのリリース後に製作された続編「西遊記II」のエンディング・テーマもゴダイゴの「ホーリー・アンド・ブライト」で、79年10月1日にシングルとしてリリースされた。
後に三蔵法師を夏目雅子が演じたことから、孫悟空が三蔵法師に恋するのではないかという奈良橋陽子のアイディアにより「Don't Wanna Say I Love You」が曲が作られたが、その様な展開はないということで没になり、これは後にタケカワユキヒデのソロアルバム「レナ」に収録された。

ジャケットはいかにも70年代のロックのジャケットという感じのメンバーのショットである。
トミーはまだヒゲを生やしており、ワイルドなイメージである。裏面では「西遊記」キャラの仮装をしてしまっているが、当時はこれもお遊びだったのだろう。 ファンクラブ会報29号の「マイ・ベスト・ジャケット」という企画で、トミー・スナイダーはお気に入りのジャケットとして、「西遊記のウラ。あっちが表だと良かったのに」と語っている。

ライナーノーツは西遊記の粗筋の他、洋楽アルバムの国内盤解説を意識してかバンドのヒストリーやメンバーのバイオグラフィーが載せられている。今読むと、大げさ な表現が多く、かなり肩に力が入っていたことがうかがえる。

当初はLP、カセット(CCK-5027)での発売。同じYX-5004でもレーベル面がサトリルとコロムビア(オレンジ色)の2種類がある。 後にCDで正式に復刻された(89.11.21/CA-4063)。CDはQ盤でも出ている(93.10.21/COCA-11090)が、これはジャケット及びライナーの一部が省略されている。このQ盤は98.10.21発売の「定番コレクション」シリーズで再発されており、これには(レコードのジャケットとは異なるが)一応裏面に曲目が書いてある(CD番号は同じ)。

  

CREDITS
Producer ジョニー野村 & GODIEGO
Engineer 鈴木慶三 & 宮本良夫 他
Arranger ミッキー吉野
Players G-Personnel : MarkIII
タケカワユキヒデ: Vocal
ミッキー吉野: Keyboards
浅野孝己: Guitars
スティーヴ・フォックス: Bass, Vocal
トミー・スナイダー: Drums, Vocal, Marimba
  
サンディ A.ホーン, 梅垣ミドリ, 伊集加代子: Backing Vocals
ジェイク・ H. コンセプション: Sax solos
Designer & Photographer Cover Art Design: 内田巧
Front & Back Cover Photograph: 内田巧

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