GODIEGO STUDIO LIVE

PROGRAM
DENON LIVE CONCERT (FM東京)
ON AIR DATE
1975年6月29日(日) 15:00〜16:00

SONGS

01 イエロー・センター・ライン/Yellow Center Line
02 夜の都会/Night Time
03 メイキング・マイ・ウェイ/Making My Way
04 夢を追って
05 ゆうがたラブ
06 機関車
06 ふうらいぼう
08 バイ・バイ・ベイビー
09 しらけちまうぜ
REVIEW

75年当時、タケカワユキヒデとミッキー吉野グループ(第五次)で活動していた頃、小坂忠&ティン・パン・アレイと競演する形でラジオに出演した際のスタジオ・ライヴ。

新しいフォーク・ロックのアーティストを紹介するという企画だったらしい(本番組は日本コロムビア所属のアーティストが出演するライヴ番組で、小坂忠の「ほうろう」はアルファ・レコードから再発されているが、初出はコロムビアだった)。

タケカワユキヒデとミッキー吉野グループは「走り去るロマン」ツアーの終盤(4月)に浅野孝己が加入してから間もない頃の出演で、非常に初々しい感じのする演奏である。 このメンバーで75年後半にゴダイゴの1stアルバム「ゴダイゴ(新創世紀)」の大部分を制作するので、このライヴもゴダイゴのプロトタイプと言えるだろう。

1〜3曲目がタケカワとミッキー吉野グループの演奏である。
「イエロー・センター・ライン」はゴダイゴの1stシングル「僕のサラダガール」のB面曲で、「ゴダイゴ(新創世紀)」にも収録されている。ゴダイゴのレパートリーで最初に演奏された曲である。
続くの「夜の都会」はタケカワのソロ・アルバム「走り去るロマン」収録曲だが、初期のツアーで演奏していたらしく、同年7月にミッキー吉野グループが井上 堯之バンドとジョイントで沢田研二のバックに参加した際にもジュリーによってカバーされている。 3.のメイキング・マイ・ウェイはタケカワの曲の中でも特にロックンロールっぽい雰囲気の曲である。タケの曲はビートルズ(ポール・マッカートニー)の影響が良く言われているが、こうしたストレートなロックンロールはあまりない。そのせいかどうかはわからないが、この曲は公式には発表されていない。タケカワのフェイクしたヴォーカルはライヴでもあまり聞けないので、後半のコーラスとの掛け合いは割と貴重である。

後半は小坂忠がティン・パン・アレイをバックに唄っている。吉田美奈子がコーラスで参加しており、1曲リード・ヴォーカルも担当している(「夢を追って」)。

このライヴで最も興味深いのは、英語で唄うタケカワとミッキー吉野グループの方がサウンドが無国籍風で、日本語でかつ「ふうらい坊」や「機関車」等日本的なイディオムを多用している小坂忠とティン・パン・アレイの方がよりアメリカン・ロックの香りがするということである。 

ティン・パン・アレイ一派は感覚だけでなく、アンサンブルやサウンド作り等で非常に良くアメリカン・ロックを「研究」しているという感じがある。70年〜80年代の大瀧詠一や細野晴臣のインタビュー等を見ても、アメリカン・ロックをとても冷静に見つめて、それを自分のものに取り込んでしまっていることが窺える。矢野顕子が、80年代以降にアメリカのミュージシャンに逆に「細野さん達の演奏を聞かせている」と語っているが、さもありなんと言うところである。

一方でミッキー吉野のサウンドは、タケカワが英語で唄い、ミッキー自身はアメリカで音楽を学んできているのだが、そのサウンドは奇妙に洋楽の雰囲気をあまりもっていない。それは、ミッキーや浅野孝己、そしてエディ藩やルイズルイス加部と言ったタイプのプレイヤーは結局「研究」ということを好まないことによるのではないかと思う。ザ・ゴールデン・カップスがレコードでやっていた洋楽のカバーを聞いて、原曲に比べ音の省略が多いことを指摘している評論があったが、そもそも、彼らは「忠実な」コピーをする気がないのではないだろうか。かといって、アレンジを見直して「自分達」風にやるという程のこともせず、レコードを何回か聴いて、「セーノ!」で録音してしまうのがカップスのカバーであるとすれば、ミッキーのサウンドも誰かの「影響」を感じさせる部分が少ないのは頷ける。

なお、この時の両バンドのメンバーは過去と未来につながりをもっている。
ティン・パン・アレイのジョン山崎はミッキーの後任でザ・ゴールデン・カップスに参加している。また浅野孝己は70年代初に「THE M」に参加していた頃、当時「はっぴいえんど」で活動していた細野晴臣らと接点があった。
また、スティーヴ・フォックス、小坂忠、ジョン山崎の3人は後にクリスチャンとなり、ゴスペル・ミュージックの演奏で共演している。

パーソナリティの菅野沖彦は元々著名なオーディオ評論家で司会は不慣れなせいか、その進行はかなり危うげで、タケカワの紹介のところで「6才から作曲を始め〜」といいはじめタケカワが思わず「いや、違います」と言いかけて(生放送なので)やめているところがある 。
これは、本来「16歳」というべきところを台本の誤植か菅野氏の読み間違いで「6歳」と言ってしまったものだった。

 

CREDITS
Personality 菅野沖彦
Players <タケカワユキヒデ&ミッキー吉野グループ>
タケカワユキヒデ: Piano, Vocal
ミッキー吉野: Keyboards, Vocal
浅野孝己: Guitars
スティーヴ・フォックス: Bass
原田裕臣: Drums
坂本めぐみ & 上村純子: Chorus
 
<小坂忠、吉田美奈子&ティン・パン・アレイ>
小坂忠: Vocal
吉田美奈子: Vocal, Chorus
細野晴臣: Bass
鈴木茂: Guitars
佐藤博: Keyboards
ジョン山崎: Keyboards
林立夫: Drums
浜口茂外也: Percussion
 

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